読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

kjohnのブログ

忘れないうちに書いて残しとく

映画『ハーモニー』感想

公開初日に観ていたのですが、忙しかったのといまいち感想を書く気が起きず遅れてしまったのだけれど、感想。観に行ったのは18時の回で席は6割くらい埋まっていました。屍者の時は平日の午前中に行ったので少なかったけど、夜ならこのくらい入っていたのだろうか。

 

全体的な感想は「いまいち面白くなかった」という感じなんですが、とにかく画的な魅力が少ない。世界設定はセリフやモノローグでそのまま行われ、その間画面は建物や風景を映したり意味もなくカメラがぐるぐるまわったりしていてひたすらに退屈である。

視覚的な情報が少ないということは音声であるセリフを随時脳内で咀嚼し続けなければならないということなのでとても疲れる。この作品は『虐殺器官』後の世界という設定があり、『虐殺器官』内で起こる事件が『ハーモニー』において「大惨禍」として語られ、それがそもそも生府社会の成立に繋がっているのだが、『虐殺器官』と公開順が逆になってしまったのもあり、原作未読組には相当の集中力を要するだろうと思う。

まあこれが生府社会の退屈さとリンクしている(キャラクターがCGで描かれる部分があるのもこのためだろうか)とは言えなくもないけどそれは映像表現の限界を認めていることにはならないだろうか。

映像で表現されている生府社会のビジュアルについて、曲線で構成された生物的なデザインをしているんですが、これどんな理由でこんな設計がされるんだと思ったら、一応パンフレットの方に理由が説明されていました。ハードSFである本作ではこの点は非常に重要な点であります。特に説得力はなかったけれど……。螺旋監察官の会議とか老人たちの会議とかも全然意味のわからないビジュアルなので、あの世界においてああいったデザインにする利点が全くない。あと螺旋監察官の会議で流れてた世界の死亡リポートで銃を使ったらしい案件が表示されていたけど、あの世界で銃ってそんなに入手できるものなんだろうか。

あとスタッフロール後の主題歌が流れてきたときは本当に余韻を掻き消されて酷かった。ハーモニープログラム発動後の世界の映像はとても綺麗で良かったけれど、生府世界で意識(=言葉)を失ったあとで歌詞のついた歌を流されたので正直席を立って出て行ったほうが良かったのではと思うぐらいだった。

 

それからこれは個人的な好みの問題なのだけれど、この映画を観る前はどこかで『ファイト・クラブ』とか黒沢清的な演出を入れてくるのではないかと予想していて、例えばキアンの「えう」のシーンなんかは黒沢清風な長回しで来るんじゃないかと思ったら、普通にBGMで不安をたっぷり煽ってからの自殺になっていてがっかり。他も原作にあったちょっとしたネタはかなりカットされていて、結局テーマをなんとか伝えようと試みるだけで手一杯になっている映画化。という印象。